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STARNET-NEWS Vol.55

2024年新春号

年頭のご挨拶

代表取締役社長 谷本 收

2024年の新春を迎え、平素の格別のご厚情、ご支援に深く感謝申し上げます。

1.昨年の回顧

昨年の世界情勢は、ウクライナ情勢に加え中東情勢の不安定化、米中対立など、世界情勢はその緊迫度を増しました。国内経済では、新型コロナの5類移行、輸出やインバウンド需要の回復などにより景気の回復も見られましたが、原材料の高騰、円安の進行、人手不足等、依然として不透明な状況が続きました。

情報通信業界では、DXに不可欠なAI、クラウド、情報セキュリティ、IoT、ネットワーク関連技術がさらに進化するとともに、その需要が大きく伸びました。特に生成AIはあらゆる業界に大きなインパクトを与えようとしています。

当社は、お客様の情報セキュリティ、ネットワーク、コミュニケーションへの様々な課題に対し全力で対応するとともに、ゼロトラストモデルによる新たなネットワークのご提案と構築、情報セキュリティに関する新技術・新サービスの調査検証とご提案に注力してまいりました。

また、2023年は当社3カ年中期計画の2年目として以下の重点施策に取り組んでまいりました。

(1)新ネットワーク構築推進と新たなサービスの展開

多くのお客様において、ゼロトラストモデルをベースとした新たなネットワークへの移行に取り組みました。また、OTセキュリティやXDR等の新たなセキュリティサービス、及びお客様に応じたセキュリティアセスメントのご提案と導入を推進しました。

(2)お客様のDX推進を加速させる最新技術の利活用推進

クラウドバックボーンによる新型ネットワークを構築し、プライベート5Gの検証を実施しました。また、その成果をお客様に紹介いたしました。

(3)業務改革継続とサービス品質の向上の実現

全部門において社内DXを推進し、営業部門では新営業システムの検討に着手しました。

この結果、当上半期の業績は、計画を上回る売上高5,316百万円(前期比+11%)、営業利益170百万円(前期比+21%)とすることができました。これもひとえに、お客様ならびにお取引先様のご支援の賜物であり、改めて厚く御礼申し上げます。

2.本年の展望と重点取り組み事項

さて2024年、情報通信業界ではDXの推進を支える新たなネットワークへのシフトがさらに進むとともに、生成AIのさまざまな業種への適用が進展すると予想されます。また、本年は中期計画の総仕上げを行う年でもあります。

当社は、新たな時代においても「お客様に貢献できる存在であり続ける」を実現するため、以下の重点施策に取り組みます。

(1)次世代グローバルネットワークの構築

ゼロトラストモデルをベースとしたグローバルも含めた次世代ネットワークの構築をお客様と共に着実に進めます。また、最新のセキュリティサービスをお客様にご提案します。

(2)工場DX、セキュリティ向上への貢献

プライベート5G、OTセキュリティ等の提案や導入を進め、お客様の製造現場や工場におけるDX、セキュリティ向上に貢献します。

(3)新領域でのサービスレベルの向上

高度クラウド&セキュリティ技術者の育成と体制強化を行い、これまで以上の高水準のサービスをご提供します。また、社内DXにより、サービス品質向上と効率化を一層推進します。

本年は辰 (たつ) の年となります。その名の通り、世の中が活気に溢れ、成長していく年になることを祈念するとともに、お客様とのパートナーシップをなお一層強化し、お客様に必要とされる存在として、さらなる成長を遂げるため、社員一丸となって努力してまいります。

最後になりますが、皆様とご家族のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。引き続き、ご支援とご指導を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

本年の展望と重点取り組み事項
2022年度~2024年度 中期計画の概念図
  

社内セキュリティ対策の体制強化-「情報セキュリティ統括室」の新設

昨今のサイバー攻撃の高度化・巧妙化に対応するため、当社では従来から情報セキュリティ対策をはじめとする各種ISMS (情報セキュリティマネジメント)活動を推進してきました。

一方で、セキュリティ対策ツールの増加や外部からの攻撃と思われる事象への対応など、日々の運用体制の拡充と共にインシデント発生時の即応体制の整備等が課題となっておりました。

そこで今回、 ISMS活動をPDCAサイクルで継続的に推進し、加えて実践的なCSIRT (セキュリティ対応組織)機能をOODAループでスピード感を持って対応する、「情報セキュリティ統括室」を新設いたしました。

ここではISMS活動やCSIRT機能を維持・実現するための情報セキュリティ対策の検討、導入には、攻撃を受けることを前提としたCSF (サイバーセキュリティフレームワーク)の考え方も取り入れていきます。

本組織は全社一元的な対応を実現する責任ある社内組織として、また当社の情報セキュリティに関する総合力を発揮する実践の場とも考えております。

本組織の活動を通じて当社社員のなお一層の情報セキュリティへの関与、意識向上を図り、
 ・お客様情報も含めた当社情報資産の保護
 ・本組織の活動で得られた経験や知見のお客様への提案、設計、構築、運用等の各業務へのフィードバック
を図りたいと考えております。

引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。

情報セキュリティ統括室
自組織内タスク

通信キャリアが提供する「プライベート5Gサービス」のご紹介

●5Gの注目技術

昨今急速な普及が進む5Gサービスですが、超高速・低遅延・多接続という特長に加えて、もう一つ注目するべき技術があります。異なる要件を持つサービスへ柔軟に対応し、サービスごとに最適なネットワークを選択できる、「ネットワークスライシング」 という技術です。

例えば、映像伝送では超高速、自動運転では低遅延と多接続、といった必要な機能を持つネットワークが構築できるようになっています。

ネットワークスライシング

●プライベート5Gサービスの位置づけ

プライベート5Gサービスは、一般のパブリック5Gと企業向けのローカル5Gの両方の良いところを取ったサービスとなります。

プライベート5Gサービスは通信キャリアが5G環境を企業や自治体向けに個別に提供するサービスで、上記のネットワークスライシング技術が活用されています。アンテナや基地局は、パブリック5Gと同じものが利用可能ですが、ローカル5Gのようにお客様独自のネットワークを構築することができます。

無線の免許や設備は通信キャリアが準備したものを使いますので、ローカル5Gにおける費用面や運用面の課題を解決する内容となっています。

プライベート5Gサービスの位置づけ

●プライベート5Gサービスの概要

プライベート5Gは、ひとことで言うと、ネットワークスライシングを活用した企業向け5Gサービスです。

キャリアの持っている大きな5G網をネットワークスライシング技術により、お客様企業ごとにセキュアな閉域網として利用が可能となります。

次の図に記載したとおり、 A拠点・ B拠点・ C拠点を閉域網の1拠点として接続させることや、既存ネットワークとも接続ができ、柔軟なネットワーク設計が可能なサービスとなっています。

プライベート5Gサービスの概要

●ユースケース

実際に企業での適用が考えられるユースケースを事例と合わせてまとめました。

工場現場では、 IoT関連機器のデータ収集やカメラ映像の送信、現場作業のリモート支援、また広範囲で必要となる工場屋外での在り物管理などでの活用が想定されます。

また情報システム系では、小規模拠点のWAN接続、短期間で利用する工事現場での通信環境、そしてバックアップ回線としてのインフラにも利用することができるようになるのではないかと考えております。

ユースケース

●当社の今後の取り組み

プライベート5Gや従来からのローカル5Gも含めて、これらは企業ネットワーク構築のための新たな選択肢と考えられます。 IoTをはじめとするお客様事業分野でのネットワーク活用を加速させるサービスとして、また企業インフラを構成する重要な要素として期待されます。

当社はローカル5Gやプライベート5Gを提供するキャリア・ベンダと協業し、お客様の各種5Gサービスの実用に向けた取り組みを推進して参ります。

当社の今後の取り組み

「プライベート5Gサービス」に関するご質問はこちらよりお問い合わせください。


技術連絡会開催

第76回 技術連絡会

11月10日(金) 東京会場
11月15日(水) 大阪会場
ZOOM Webinarで開催
出席者合計 82社 151名

<講演内容>

生成AI最新動向
株式会社情報通信総合研究所様

2022年11月に公開された対話型人工知能(AI)「ChatGPT」に代表される生成AIが至る所で話題になっています。ChatGPTへの注目が高まった2023年初以降の動きを中心に、生成AIの現状と課題、市場性などの展望に関する国内外の最新情勢について、ご紹介いただきました。

住友大阪セメントグループにおけるセキュリティ対策について
住友大阪セメント株式会社様
住友セメントシステム開発株式会社様

住友大阪セメントグループにおけるセキュリティロードマップにもとづく、具体的なセキュリティ対策の取り組み事例と今後の課題についてご紹介いただきました。


セキュリティ人材育成への取り組み

サイバー攻撃手法は進化し、攻撃対象も従来のIT分野だけでなく、OT分野まで広がってきており、これらの脅威に対抗する為に、広範囲で専門的なスキルを有する高度なサイバーセキュリティ人材が求められています。

当社では、サイバー脅威に対する効果的な対策をご提案できるよう、以下のようにIPA主催の演習への参加を通じ、知識とスキルを備えた人材育成に取り組んでおります。

● IPA中核人材育成プログラム

社会インフラ・産業基盤のサイバーセキュリティ対策の強化をテーマに、テクノロジー(OT・IT)、マネジメント、ビジネス分野を総合的に学ぶ演習です。

約1年間に渡る実践的で高度な実習プログラムで、各業界の制御システムの模擬環境を使用して演習を体験し、高レベルのセキュリティ対策ノウハウを獲得します。

● IPA「サイバー危機対応机上演習(CyberCREST)」(サイバーセキュリティ責任者向け)

企業の制御システムに対して行われる攻撃のデモやケーススタディを通して、攻撃者はどのように準備をし、実行するのかを分析し、攻撃者の思考を理解できる3日間の演習です。昨年は、企業が政府や同業他社と情報共有を図り、協働して立ち向かう戦略 「コレクティブ・ディフェンス」を体験するプログラムが行われました。

● IPA「制御システム向けサイバーセキュリティ演習(CyberSTIX)」(実務者向け)

模擬プロセス制御ネットワークを使用して、サイバー攻撃手法と、それに対する防御を体験することで制御システムのセキュリティについてより深く理解できる1.5日間の実践的な内容の演習です。ITと制御システムのアーキテクチャ、脆弱性、および制御システムに固有の対策など、産業用制御システムのセキュリティを習得することが狙いです。